合掌。
NIKKEI NET(日経ネット): "野村元社長の田淵節也氏が死去 野村証券の社長、会長を務め、同社を日本を代表する証券会社に育てた田淵節也(たぶち・せつや)氏が26日午後9時16分、心不全のため東京都新宿区の病院で死去した。84歳だった。告別式は近親者のみで行う。"
「私の履歴書」の最終回では、同氏は「胸騒ぎを覚える」と結ばれていた:
「『海の色が変わった』と昔と同じような胸騒ぎを覚える」(田淵節也): "野村證券元会長の田淵節也氏は89年のバブルがはじける直前に「海の色が変わった」と発言し話題となった。日経新聞に今日まで「私の履歴書」を連載されてきたが(これ抜群に面白かったが、それはさておき)最終日の今日のコラムで、「その時感じたのと同じような胸騒ぎを覚える」と書かれている。"
いい内容なので再録:
- 「アメッポン」と言われる日本は米国に振り回されてきた国だ。その米国が今また、大きく変わる節目にあるような気がしてならない。
- 来年の大統領選挙で民主党が勝てば、イラク戦争の厭戦気分が一団と高まり、中東情勢は混沌とするのではないか。
- 軍事力に陰りが出れば、ペーパーマネーのドルの信認が低下し、米国は金や原油、穀物などの実物資産を裏付けとする新しい通貨制度を考え出すのではないかと思う。
- そうなれば、金本位制が「ドル紙幣本位制」に変わって以来の大変化だ。世界中が混乱し、アメッポンの日本は一番大きな影響を受ける。すでに、政界はざわついてきた。
- 僕は安倍さんが総理になったとき、「蒸留水しか飲んだことがない人は持たないのではないか」と思った。
- 小沢一郎さんが天下を取るのか、小泉純一郎さんが再登場するのかは分からない。いずれにせよ、日本の政治も大揺れするのではないか。
- 高度成長期以来、ぬるま湯につかってきた日本は、久しぶりに大激動の時代を迎えるように思う。
- 僕は日本の将来を悲観も楽観もしていない。「職人国家」としてそれなりの世界でのステータスを保っていけると思うから心配していない。
- もっとも、軍事力も持たずに「金融大国」の幻想を抱いている人は幻滅するかも知れないが……。
- 改めて人生観を自問すれば「人間は太古の昔から同じことを繰り返している動物」と言うことだ。
- 人生は思った通りにはならない。だから人生は面白いのであり、結果的にハッピーなのではないか。
- 「人間三代でチャラ」とはよくいったもので、いいことばかりは続かないし、悪いことばかりも続かない。それもまた人生の面白いところだ。
- 人間は変わらないが、世の中は変わる。これが実感であり、不変の真実なのだと思う。
- ブラジルの港町サントスの海岸で、沈む夕日を背に、奴隷の子孫の黒人が跪き、先祖の故郷アフリカに向かってお祈りする姿に、ただ感動した(ことがある)。心に焼き付いて離れない光景だ(った)。
他にも目からウロコの発言が多々。「戦後の預金封鎖の際、旧円は紙くずと化したが、株を買うのであれば旧円をそのまま使えた、その営業に邁進した」とあったのには驚倒。戦後の日本経済の発展の秘密を見たような気がした。平成の日本、政府は「預金から投資へ」なぞと言っているが、効果は上がっていない(当たり前だ、お上がバラマキと株主イジメを続けているのに誰が株に投資するものか)。投資環境の整備こそ、いま求められているものだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿